高度情報化時代の到来でコンピュータ・ネットワークを利用して 世界中のさまざまな情報を瞬時に得られるようになり、 大学においてもコンピュータを身近な文房具として学習や研究のために 利用することが一般的になってきました。 しかしそれに伴い、入門的な情報教育ではいくつかのソフトの使用方法だけに重点がおかれてしまうこともあり、 その代償として以前の情報教育では不可欠な要素であった プログラミングやアルゴリズムの学習が最初から難解であると誤解されたり授業時間の制限等のため軽視されがちです。

しかしながら、プログラミング等のソフトウエア技術は言うまでもなく現在の情報技術の中核をなすものであり、その基礎学習は以前にも増して重要になっています。一方、最近ではパソコンの低価格化に加え、フリーソフトウェアの発達により、さまざまなプログラム開発環境が誰にでも容易に手に入る状況になりました。 その結果、極めて安価でしかも Web上の豊富な文献を活用してどの分野の学生でも手軽にプログラミングに触れることができます。 また、プログラミングは論理性や創造性を養うための非常に優れた訓練でもあり、理工系だけでなくさまざまな分野の学生の基礎・教養教育にとってもたいへん有効であると考えられます。

もちろんコンピュータだけを使ってプログラミングの学習を行うことも可能ですが、 ここではロボットを使ったプログラミング学習について紹介します。

1998年に玩具のブロックで有名な LEGO 社から MindStorms Robotics Invention System (RIS) とよばれる安価でプログラミング可能なロボットのキットが発売になりました。 これは LEGO 社が MIT(マサチューセッツ工科大学)と共同開発したもので、 実際に 8bit CPU を積んだコントローラ (RCXと呼ばれる) やモーター、光センサー、タッチセンサーなどが キットに含まれています。 ロボット自体は種々のブロックやギヤ、タイヤ、プーリー など700個以上の部品を組み合わせることができるので 事実上無限のパターンがあり、いろいろ工夫しながら 独自のものを簡単に作ることができます。 そしていろいろな命令を組み合わせた制御プログラムをパソコン上で作成し、 これを用いて独自ロボットを動かします。 もちろん同じロボットでもプログラムを変更することにより さまざまな動かし方ができますが、機械的な工夫とプログラムの連携も 重要なポイントです。 もしプログラムに間違いがあった場合はロボットは予定通りに動いてくれません。

このようにロボットという『実体』を動かすことによって プログラミングをより身近なものとして学習でき、 またハードもソフトも簡単に改良できるので、楽しみながら 応用力を養うことができます。 実際に発売当初より国内外の大学の研究室や授業において、 問題解決能力を養ったり、ロボット工学やプログラミングの教育に利用されています。

(実は、以上の説明は、2001年度の授業の教材費を共通教育センターにお願いするにあたって作成したものを少し手直しただけです。ですのでさまざまなロボットが急速に普及・発展している現在の状況としては少し古い説明になっているかも知れません。)


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Last-modified: 2008-05-21 (水) 16:18:58