//#nomenubar
松本成司 (matsu AT johnen.shinshu-u.ac.jp)

このページは、[[Debian Live System を使ったライブ・システム構築のメモ>DebianLive/Build-HOWTO]]の簡易版です。
Debian GNU/Linux testing (lenny) あるいは unstable (sid) 上での作業を前提としています。
詳しくは[[本家の説明:http://wiki.debian.org/DebianLive]] や live-helper の manpage などを参考にしてください。
感想やお気づきの点があれば松本まで連絡をいただけると幸いです。

目次
#contents

* 必要なツールのインストール [#z4a79440]

 # apt-get install live-helper live-initramfs qemu wodim

ビルドに必要なツールは live-helper というパッケージに含まれています。qemu はビルドしたイメージをテストするためのエミュレータ、wodim は CDやDVDにイメージを焼くためのツールです。

* lh_config で設定 [#gf17bbbc]

まず作業ディレクトリを用意してそこに移動します。
以下の例では debian-live というディレクトリ名になっていますが、何でもかまいません。
700MBくらいのイメージを作成する場合には、4GB くらいの空き容量が最低でも必要です。

 $ mkdir debian-live
 $ cd debian-live

このディレクトリで lh_config というツールを使って必要な設定を行っていきます。
lh_config を実行する際には複数のオプションを指定するともできますが、説明をわかりやすくするため以下では一つの設定(一つのオプション)に対して lh_config を一回ずつ走らせています。

まずdebファイルをダウンロードするミラーサイトを指定します。
以下の ftp.jp.debian.org をお近くのミラーサイトに置き換えてください。

 $ lh_config --mirror-bootstrap "http://ftp.jp.debian.org/debian/"
 $ lh_config --mirror-chroot "http://ftp.jp.debian.org/debian/"
 $ lh_config --mirror-binary "http://ftp.jp.debian.org/debian/"

言語やブート時のパラメータを指定します。

 $ lh_config --language ja
 $ lh_config --bootappend-live "locale=ja_JP.UTF-8 keyb=jp kmodel=jp106"

USBメモリから起動する場合には、データを保存できるように persistent オプションもブートパラメータにいれておきます (ついでに noprompt も)。

 $ lh_config --bootappend-live "locale=ja_JP.UTF-8 keyb=jp kmodel=jp106 persistent noprompt"

バイナリの形式を指定します。CDに焼く場合は、

 $ lh_config --binary-images iso

USBメモリの場合は、

 $ lh_config --binary-images usb-hdd

ディストリビューション (lenny またはsid)、セクションを指定します。

 $ lh_config --distribution lenny
 $ lh_config --categories "main contrib non-free"

つぎにパッケージリストを指定します。
/usr/share/live-helper/lists/ に用意されているリストをそのまま使う場合には、単に

 $ lh_config --packages-lists リスト名

と指定すれば良いのですが、これだと日本語関連のパッケージが入らないので、次のようにしてパッケージリストを自作することにします。

自作のリストは作業ディレクトリの下にある config/chroot_local-packageslists/ に保存します。
あらかじめ以下の例のような日本語関連で必要そうなパッケージのリストを作成しておくと便利です。 
取り合えず以下のリストをコピーして japanese というファイル名でこのディレクトリに保存し、他のリストからインクルードしておけば、anthy による日本語入力なども可能になります (日本語化については http://wiki.debian.org/JapaneseEnvironment にまとまった情報があります)。

 # japanese env
 # save this file as "config/chroot_local-packageslists/japanese"
 
 uim
 uim-anthy
 unifont
 xfonts-a12k12
 xfonts-intl-japanese
 xfonts-intl-japanese-big
 xfonts-unifont 
 ttf-sazanami-gothic
 ttf-sazanami-mincho
 ttf-vlgothic
 xpdf-japanese
 lv
 nkf

次にデスクトップ環境やインストールしたいパッケージを指定します。
例えば Xfce を使う場合には、/usr/share/live-helper/lists/ の中に xfce というファイルあるので、これを include した次のようなファイルを作り、
config/chroot_local-packageslists/xfce-ja として保存します (名前は適当に)。
他のデスクトップ環境 (gnome や kde) の場合も同様です
(リストを自作する際には /usr/share/live-helper/lists/ の中にあるサンプルを参考に)。
先ほど作成した japanese も include しておきます
(#include で指定できるのは /usr/share/live-helper/lists/ と config/chroot_local-packageslists/ 内のファイル)。

 #include <xfce>
 #include <japanese>
 
 # miscellaneous Xfce4 packages
 xfce4-goodies
 xfce4-places-plugin 
 thunar-volman
 xfmedia
 
 # misc
 iceweasel-l10n-ja
 mozilla-plugin-gnash
 w3m
 xterm
 less
 openssh-client

このリストを config/chroot_local-packageslists/xfce-ja というファイル名で保存して、lh_config でこのパッケージリストを指定します (ファイル名はお好みで)。

 $ lh_config --packages-lists xfce-ja

リストに入れなかったパッケージでインストールしたいものがあれば追加します。例えば

 $ lh_config --packages "nqc g++ w3m"

これらのコマンドは一度走らせると、前の設定を上書きしてしまうので注意してください。

次にカスタマイズした設定ファイルや Debian のパッケージ管理ツールで管理されていないファイルを config/chroot_local-includes/ 以下にコピーします
(デフォルトの設定のままでよい場合にはこの作業は不要です)。
例えば、現在使っている /etc/bash.bashrc や /etc/skel/ 以下の初期設定ファイル、 /usr/local/bin/ 以下のファイルなどをビルドするイメージにも入れておきたい場合には、

 $ mkdir -p config/chroot_local-includes/etc/
 $ mkdir -p config/chroot_local-includes/usr/local/
 $ cp /etc/bash.bashrc config/chroot_local-includes/etc/
 $ cp -a /etc/skel/ config/chroot_local-includes/etc/
 $ cp -a /usr/local/bin/ config/chroot_local-includes/usr/local/

のような感じでコピーします。

* lh_build でビルド [#i11729a2]

root になって次のコマンドを一発たたくと、それだけでディスクイメージをビルドしてくれます。

 $ su
 # lh_build

これでオリジナルのライブCDのイメージ (binary.iso) あるいは USB メモリのイメージ (binary.img) がカレントディレクトリにできるはずです。

ちなみに、2008年9月に某ストアで12,800円で購入した激安サーバ (Celeron 430 - 1.8GHz, 512MB RAM, HD 80GB) を使ってここで紹介した設定例のままビルドした場合、deb ファイルのダウンロード時間を除いて20分程度かかりました((メモリを8GBに増設してRAMディスク上で作業すると12分程度に大幅に短縮されました。パッケージの展開やインストールは劇的に速くなりました。あとは CPUを Q8200に乗せ替えて squashfs を作成する時間を短縮すればコストパフォーマンス抜群の高性能開発マシンになるはず・・・ですが先立つものが・・・))。一方 X61 (T7500 - 2.2GHz, 4GB RAM) では、12分程度でした。
出来上がったディスクイメージは約400MB、作業ディレクトリはこのイメージを含めて最終的に約2.4GBになりました。

設定を変更して再度ビルドする際には、ビルドの前に lh_clean を実行してください。
ただし lh_clean では config/ 以下のローカルファイルは削除されないので、不必要になったローカルな(=自分でコピーした)ファイルなどは手で削除する必要があります。 

 # lh_clean --all
 # lh_build

また --all オプションをつけてもダウンロードした deb ファイルは cache/packages_chroot/ に残っているので 2回目以降はダウンロード時間が短縮されるはずです。

* qemuでテスト [#q1c91f17]

 $ qemu -cdrom binary.iso

または

 $ qemu -hda binary.img

デフォルトでは qemu が使用するメモリは 128MB ですが、作業マシンに余裕があれば以下のように 256MBくらいは用意したほうが快適なエミュレーションができます。

 $ qemu -m 256 -hda binary.img

* CD や USBメモリへの書き込み [#fafc9c28]

CDに書き込む場合は、例えば、

 # wodim -eject binary.iso

USBメモリに書き込む場合は、マウントしていない状態で、例えば

 # dd if=binary.img of=/dev/sdb

of= で書き込み先のUSBメモリのデバイス名を指定します (この例では /dev/sdb)。
USBメモリ内のデータはすべて消去されてしまうので注意してください。
(dd で bs=1024k などのオプションをつければコピーのスピードが速くなると思います)。
このイメージはパーティション情報まで含んだイメージなので、書き込み先が /dev/sdb1 ではなくて /dev/sdb になっていることに注意してください。

ddでイメージを書き込むと、USBメモリには新しいパーティションが一つ切られて (例えば /dev/sdb1)、残りは空き領域となっています。
ここに home 用のパーティションを追加します。
そのためには cfdisk などのツールを使ってその空き領域に Linux のパーティション (ext3 など) を追加し、そのボリューム名を home-rw にします (別のUSBメモリなどのストレージでもボリューム名を home-rw にしておけばOKです)。
そうすることで起動時にそのパーティションを /home として自動的にマウントしてくれます。

 # cfdisk /dev/sdb
 # mkfs.ext3 /dev/sdb2 -L home-rw

これでライブUSBメモリのできあがりです。簡単!

ちなみに /home だけでなく、/ 以下の変更をすべて保存しておきたい場合には、ボリューム名を live-rw にします。これでイメージとの差分が保存されるので、パッケージを追加したい場合や /usr/local/ をカスタマイズしたい場合には便利です。 

* 参考リンク [#n52d67d1]

- http://wiki.debian.org/DebianLive (本家)
- [[Debian Live 3分クッキング:http://cliplife.jp/clip/?content_id=d068osmn]] (Debian開発者のやまねさんによるプレゼン --- とてもわかりやすいです)


2008年10月24日からのこのページのだいたいの訪問者数:
本日&counter(today);
昨日&counter(yesterday);
合計&counter(all);

トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS